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先輩の声

岩手医科大学について

助教
松本 敦
Atsushi Matsumoto

  • 出身/埼玉県・秋田大学
  • 専門分野/新生児学

専門研修医
土屋 繁国
Shigekuni Tsuchiya

  • 出身/福島県・岩手医科大学
  • 専門分野/小児科新生児

准教授
齋木 宏文
Hitofumi Saiki

  • 出身/三重県・北海道大学
  • 専門分野/循環生理学 心不全)

Q. 松本先生が埼玉県、土屋先生が福島県、齋木先生が三重県ご出身です。それぞれ岩手県に来られた経緯と理由を教えてください。

松本:私は大学が秋田県だったんですが、その後いったん栃木県にある自治医科大学に就職しました。妻の実家が岩手だったので来た…という感じです。動機としてどうなのか?と思いますが(笑)。

土屋:私は伯母がここの歯学部出身で岩手県には少し縁があり、こちらの大学に合格したので、岩手県に行こうか、と。将来的には福島に帰る予定ですが、もう少し岩手で恩を返して修業したいなと思っています。同じ「東北魂」というのが僕の中ではあるので、仲良くしたいとも思っています。「福島は北関東だ!」という人もいると思いますが(笑)、僕は東北人だと思っていて、東北に誇りを持っています。

齋木:僕は前教授が十年来の知り合いでした。所属していたグループを再編するタイミングで前教授が声をかけてくださったんですよ。「子どもの診療をもう少しスケールアップしたいが、自分も退官するし…」というような話の中で「こっちに来ないか?」と。当時神奈川県にいたのですが、当時の上司にやりがいがあるんじゃないかと強く推薦された経緯もありお世話になることにしました。

土屋:…マジメな回答ですね。

齋木:マジメだよ!(笑)

土屋:あ、そうですね(笑)。

Q. 県外出身だからこそ岩手県を対象化して見られる部分もあると思います。その観点から岩手県や岩手県の医科大学の小児科の魅力や良さなどを教えてください。

松本:私の生まれ育った埼玉県は、長らく人口比に対する医師数…特に小児科関係の数が少ないと言われている県でした。
私が医者になった20数年前は、医療政策など県全体で医療をどうにかしようという部分があまり感じられなくて。それは埼玉県に限らない話なのかもしれませんが。一方で岩手県に来て、こちらは私学ですが、数少ない医療資源の中で、県と大学全体が一緒になって問題を解決しようとしています。それは他県から来て感じているところですね。

土屋:医療的な話ですね。

齋木:めっちゃマジメな話じゃん(笑)。

松本:マジメですよ!(笑)。でもそれは最初の数年で感じました。皆さんはどうですか?

齋木:あまり医療的な事情を考えて来たわけではなかったんですが。

松本:そうですよね。私も来てから結果的にです。

齋木:そもそも馴染みがあったわけではないですが、岩手県はわりと立ち寄ったことがありました。多分一番最初は、大学の時に青春18切符で北海道から三重に帰る途中に岩手県があったんですよね。ちょうど泊まるのに良いのが岩手県。高校時代に読んでいた「孔雀王」というマンガに(柳田國男の)「遠野物語」が出てきたことを思い出して、遠野市に寄って1週間くらいユースホステルに泊まっていたんです。河童を探しながら(笑)。あとは花巻のユースホステルと、平泉の毛越寺というお寺に昔ユースホステルがあって1〜2週間過ごしたんですよね。そこで良くしてもらって、「悪くないよね、岩手県」という気持ちがありました。

その後に東日本大震災があって、支援で埼玉から2週間〜1カ月単位で3〜4回来ることもありました。その時に一関市の磐井病院の先生方から岩手県の医療事情を聞く機会などもあり、漠然とはイメージがありました。たしかに「土地が大きい」というのはよく話題になりますが、アメリカの小児専門病院や大学病院は車で4〜5時間行ったり、飛行機に乗って受診したりすることもあまり珍しくないんです。医師がアラスカまで行って診療して帰ってくるという話も聞いたことがあります。だから、岩手県もある意味北米型なのかなと思いながら見ていました。「岩手県に行ってみてもいいかな」と思ったのは、ある程度今まで触れてきたものに近いイメージがあったという側面もあったと思います。

Q. 実際に来てみてどうですか。

齋木:大体想像した通りです。あとは人ですね。関西とも関東とも名古屋圏とも北海道とも少し違う、東北独自の人柄というんですか。これは興味深いなと思って見ています。関東は割と外から来た人を普通に受け入れていますし、北海道も本州から人が来るのは当たり前…みたいな空気ですが、東北の人たちは人が来るのがあまり当たり前じゃない…みたいな気配、ない?

土屋:そうかもしれないですけれど、どうなんだろう(笑)。

齋木:「異人さん」みたいな感じに受け止められているなあ、って。

土屋:どうなんだろう。でも、壁を乗り越えたら温かいとは思いますよ。

松本:うん、温かいですね。いろいろと良くはしてもらいますね。

土屋:でも少し、冗談が通じにくいところはあるかもしれない。間に受けちゃう(笑)。

齋木・松本:ああ、そうそうそう(笑)。

土屋:マジメなのかもしれないですね。そこは明らかに関西の人とは違うと思います。

Q. 医局の雰囲気はどうでしょうか?

松本:私が来た頃から20年ほど経っていますが、当初は今の半分くらいの医局員でした。かなり増えましたね。それこそ今は「机が足りない…どうしよう」という話ですが、当時は机がポンポンと飛んでいる感じだったので、少人数で本当にこぢんまりやっている感じでした。その辺の良さもありましたが、一方で一人ひとりが日々戦場というか。朝から晩まで少ない上に交わることもないほどあちこちに行っている感じでしたが、だんだん人が増えるにしたがって丸みを帯びてきた感じです。

あと、人数は増えたけれど個性も増えました。いい感じで温かい雰囲気になってきたと思います。以前はギスギスしていたわけではないですが、忙しくてなかなか交流する暇がなかった感覚です。

Q. こういった以前の話は、土屋先生や齋木先生はご存知ですか。

土屋:そうですね。話しか聞いたことがないです。先生たちは他で働いて来ていますが、僕は岩手医科大にしか属したことがないので、「こういう感じなのかな」と思っています。他科の医局をちらっと見る限りだと、小児科の医局としてはにぎやかな方なんじゃないかなという気はしますね。他の病院の小児科の医局がどんな雰囲気なのかはいまいちよく分からないですけど。

齋木:僕は10年前に初めて他の大学ですが、医局に所属しました。卒後12年くらいは大学にいなかったので。やっぱり大学以外の所で大きな病院は、もしかしたら意識が高すぎて個別感が強いんですよね。だから、最初に医局に入った時に「医局ってこんなに優しいのか…!」と思いました。以前は学会でもどこに行っても特に知り合いもいないし、話してくれる人もいない。独りで行って独りで発表して…という感じだったのが、医局に入るとみんなが連れて行ってくれていろいろ教えてくれるじゃないですか。医局ってすごく優しくてあったかいと思ったのが大学の医局に入った瞬間に思ったことでした。

それで岩手に来て思ったことは、研修の先生たちが比較的ニコニコしていることが多いことです。横のつながりというか、コミュニケーションを取って楽しそうにやっていると思いますね。松本先生がさっきおっしゃったように、人がいないとギスギスするところはやっぱりあって。そういう感覚が比較的薄いのは、あまり過負荷じゃない状況ができている部分もあるからかと思っています。それこそ子育て中の女医さんとか、上手に時間を使いながら頑張っていらっしゃると思います。周囲の理解も大きいのかなと。

Q. 歩んできた道が違うとそれぞれ三者三様で、受け止めや考えが違いますね。こういう話をする機会はありましたか? 最近はコロナ禍で、皆さんで飲みに行きながら交流を深める機会もなかなかないと思いますが。

齋木:しているよね?こういう話。

土屋:いや、あまり…そうですね、僕があまり興味ないだけかもしれない。

松本:(笑)。興味ないんだ。

土屋:「他人は他人だしな」って、いろんな考えがあるなって思っているので(笑)。でも、今は他の人も見ていますけどね、どんな感じだろう?って。

松本:うん、そうですね。

齋木:きっと、そういられるところがいいところなんじゃない?

松本:ああ、そうですね。

齋木:なんか「こうじゃなきゃいけない」って言われないところとか。

土屋:そうですね。たしかに。

Q. 「医局の優しさ」というワードを齋木先生が挙げてくださいましたが、お2人からするとどうですか?

松本:若い人や齋木先生がどう感じていらっしゃるかわからないですが、上下関係なく多様性をできるだけ受け入れ、人それぞれに合った働き方を一緒に考えるつもりでいるし、それをみんなも感じてやってくれていると思います。その人が頑張れる持ち場で一生懸命頑張ってもらい、難しいところは補い合う。若い人も単純に手先の器用な人、考えるのが得意な人、特性を可能な限り探りながら、お互いが能力を発揮できるようにしたいですね。簡単ではないと思いますし、最近はじっくり膝を突き合わせて話す機会もないんですが。みんなの共通認識とは別にそういったことがあるんじゃないのか…と、薄々感じながらやっています。そこが温かさに、ひょっとしたら繋がっているのかな。若い人もそう感じているのか、全然考えたことがないかも知れないけれど(笑)

土屋:いやいや、そんなことないです(笑)守られているな、と思って仕事していますよ。最近は忙しくて「ああーもう!!」ってイライラしたりとかっていうのはありますよね(笑)。

齋木:溜まってるねー(笑)。

松本:出ちゃったねー(笑)。

土屋:なので、まあ…そうですね。色々ありますけれど、要は「飲みに行きましょう」っていう感じです(笑)。

Q. 所属するグループは違いますが、垣根のようなものは特にないですか?

土屋:医局とNICUの医師室が離れているので、話をする機会というのが少なくなっているという部分はありますかね。

松本:物理的にはそうですね。ただ外部との行き来には距離があるし、隣にちょっと行けば違うことをする施設があるわけでもない。そうすると、少ないながらも一通りの診療グループが揃っているので、全部とやり取りをするという意味では交流があると思います。

Q. 先生がたの休日の過ごし方や、自分を回復するひと時など、オフについて教えてください。

齋木:岩手に来てすぐの頃は毎週末のように温泉に行っていました。秘湯みたいなところがたくさんあるので。青森の方や秋田の方にも行くし。東京からだと岩手に寄ってから秋田新幹線に乗っていく…みたいなアクセスの難しい温泉へ気楽に行かれるのが、最初の方はすごくよかったです。あとは岩手山に登ったり。やることはいろいろとありますね。

Q. 県外の人はまず温泉巡りは通る道ですかね?(笑)

松本:温泉を巡る暇が…当時はなかったので(笑)。岩手は食べ物がおいしいです。私は埼玉で育ったので、海の魚が全然ダメだったんですよ。刺身は一切食べられず、小さい頃は食べると気持ち悪くなって吐くくらい。それが岩手に来て、刺身を食べられるようになりました。妻が沿岸部の出身なんですけれど、沿岸へ行くのはそれが楽しみですね。

土屋:それって、最初は地獄だったんじゃないですか?

松本:向こうで食べられなかったものが、一つひとつ食べられるわけですよ。新鮮だから美味しいんです。

土屋:へぇぇ!

松本:全然違うんですよ。臭みもないし。

土屋:そうなのかあー。

齋木:それで言えば、ウニがおいしいですよね。僕もウニは食べられなかったけど、こっちに来てから食べられるようになりました。

松本:私もそう。ウニを食べられなかったのが、食べられるし、食べたくなる。

Q. あと、エリアは違いますがジンギスカンも有名ですよね。

齋木:以前、ジンギスカンをお店で買ってバーベキューをしました。花巻よりもうちょっと山に入ったところにコテージ付きでバーベキューできる場所があったので、「家ではラム肉食べないしなあ」と思い立ってやってみました。旨かったですね。ちょうどコロナ禍だったから行きやすかったんです。

Q. 食べ物は海の幸、お肉、山の幸。それに温泉。楽しむ要素はいっぱいありますね。

松本:そうですね。

齋木:いっぱいかな?(笑)

土屋:自然ですよね。

松本:月並みですが、心身が一緒にリフレッシュするかもしれないですね。

齋木:あとは、意外と歴史があるんですよね。東北の歴史は関東より南の歴史と違うらしくて。鎌倉時代なんかはこの辺りはちょっと特殊な文化で、文書に残っていないようなことが地域ごとにたくさん残っていて、面白いですよね。本を読んでそこに行ってみたりして楽しみました。こちらに来てすぐの頃にやっていました。

松本:私は日本史がもともと大好きなんです。うちの子どもが学校に行って、「岩手の歴史」「南部の歴史」「南部藩の歴史」というようないろいろな本を持ってくると、岩手の独特の歴史を含めて結構読みふけりましたね。子どもの教科書が面白いと思って(笑)。機会があれば、教育委員会が市民ホールなどで開催している市民講座みたいなのを聞きたいな…と思いながらポスターだけ眺めています(笑)。面白いですね。

Q. 土屋先生、面白いとのことですが歴史はどうですか?

土屋:あ、僕は歴史は大丈夫です。結構です(笑)。

一同:(笑)

齋木:結構ですって(笑)。

土屋:やったら面白いんでしょうけどね。

齋木:私の実家の東海地方は織田信長、豊臣秀吉、徳川家康。ここは全然違うんですが、ここの人たちに「三英傑」と話しても「は?」っていう感じですが、こちらにはこちらの歴史があって、これはこれで面白いんですよね。色々調べると深まる感じがします。

Q. ありがとうございます。最後になりますが、入局を目指す方や興味がある方に向けてのメッセージをいただけますか?

土屋:若手の立場からすると、忙しいけど充実した人生というか、色々な症例を見たり多くの小児科の経験ができるところだと思います。上も優秀な人たちがいますし上の人にも聞きやすく学びやすい環境です。ちょっと上を立ててみましたけれど(笑)。あとは、休める時は休めるというメリハリをつけられる人が増えています。そこはしっかりできていますね。

齋木:僕も同じように感じます。仕事とオフは決めやすく、メリハリをつけやすい環境にあると思いますね。患者さんの種類は多いですが、治療がこの中だけで終わるかというと、今はそんな時代ではありません。関東でも関西でもすぐに行かれるしコミュニケーションもすぐに取れます。受けるだけでなくこちらからたくさん教えてあげることもあるんじゃないかと思って日々やっています。ここは首都圏の第一線の施設まではいかないけれど、準一線の施設ほどのスケール感があり、それなりのクオリティの仕事をしながら世界にも発信できる情報を作っていくバックグラウンドもあります。仕事漬けにならず、オフとの両立はしやすいのではないでしょうか。仙台までは30分で行かれますし。今はネットでなんでもできる時代ですよね。何でもやりたければできるような環境は整っていると思います。

松本:生活も仕事も知恵と工夫次第で発展させられる可能性を秘めた場所ですね。都会との距離感も含めて何とでもなる、ほどよい距離感だと思います。今すでにある魅力を含め、自分で魅力を作り出していくことができるのかなと思います。

Tagopedia

田子秘書が見た松本Dr. 土屋Dr. 齋木Dr.の
スゴイところ!

3名とも共通しているのはすごく熱い先生だと思います!

それぞれに違う熱さなのだと思いますが、患者さんのこと、医局の先生方のことを大切に考えてくださり、昼夜問わず本当に日々子どもたちのために何ができるかを一番に考え向き合ってくださっています。

本当に昼夜問わず病院にいらっしゃいますので、先生方のお身体も心配になりますが、子どもたちのためにご尽力されている姿は本当にかっこよく素敵な先生方です。

岩手へお越しいただき本当にうれしく思いますしとても感謝しております。

そして岩手を大好きになってくれたらとってもうれしいです!